見てわかる 04:既存技術の転用 vs 完全新規開発、成功しやすいのは?

「自社の技術を医療機器に転用できないか」という相談は多いですが、開発が楽になることと、事業として成功することは別問題です。 技術起点で開発を始めると、顧客ニーズとズレて売れないリスクがあります。 一方、顧客から「こういうものを作ってほしい」と依頼されたケースでは、既存技術を活かしながら事業化に成功する例があります。

このシミュレーターでは、開発の起点(技術から始めるか、顧客から始めるか)と既存技術の適合度の2軸で、事業化成功率を試算します。

事業化成功率マップ

横軸は「開発の起点」(左:顧客起点=ニーズ確認済、右:技術起点=ニーズ未確認)、縦軸は「既存技術の流用度」です。 現在の条件が●で表示されます。

← 顧客起点(ニーズ確認済) 技術起点(ニーズ未確認)→
理想パターン
ニーズ確認済
+流用度高い
危険パターン
ニーズ未確認
+流用度高い
王道パターン
ニーズ確認済
+新規開発多い
失敗パターン
ニーズ未確認
+新規開発多い
投資回収シミュレーション(5年間)

成功した場合と失敗した場合の累積損益推移です。緑線が成功時、赤線が失敗時、青点線が累積投資です。

収支シナリオ詳細
成功シナリオ(確率
5年累計売上
累計利益
投資回収
失敗シナリオ(確率
開発中止時期
損失額
主な失敗要因

シミュレーションの前提条件と数値根拠

売上10〜50億円規模の中小製造業が医療機器市場に参入するケースを想定しています。 以下の数値は参照文献に基づく概算値ですが、事業化成功率については「ニーズ起点か技術起点か」が最大の決定要因であることが複数の文献で指摘されています。

パラメータ 設定値 根拠・出典
開発費用(クラス別) クラスI:数百万〜数千万円
クラスII:数千万〜3億円
クラスIII:1億〜10億円
eCompliance「医療機器クラス別の概算開発費用」を参照。申請区分(後発/改良/新規)により大きく変動。本シミュレーターでは中小企業の投資可能範囲を考慮し、クラスII改良相当を基準値として設定。[1]
開発期間(クラス別) クラスI:0.5〜1年
クラスII:1〜3年
クラスIII:2〜5年
同上。後発医療機器は1〜2年、改良(臨床なし)は1〜3年、改良(臨床あり)は2〜4年、新医療機器は3〜7年が目安。[1][2]
事業化成功率の考え方 顧客起点:50〜70%
技術起点:10〜20%
医療機器スタートアップの失敗率は約75〜90%とされる。失敗原因の第1位は「不十分なニーズによる製品開発」(スタンフォード・バイオデザイン)。医工連携ガイドブック(AMED/MEDIC)でも「技術起点で市場ニーズに合致しない機器開発」が典型的失敗パターンとして指摘されている。顧客からの依頼(ニーズ確認済み)で始める場合は成功率が大幅に向上する。[2][3][4]
危険パターンの定義 技術起点×流用度高い 「技術はあるが売れない」パターン。開発は楽だが顧客ニーズとの適合が未検証のため、上市しても販売不振に陥りやすい。医工連携ガイドブックで「典型的な失敗例①」として明示されている。[3]
5年累計売上(基準値) 4〜5億円(成功時) 中小企業庁「医療分野に進出した中小サプライヤーに関する調査」等を参考に、ニッチ市場向け医療機器の売上規模として設定。成功時の利益率は7〜10%程度を想定。[5]

参照文献

シミュレーション上の注意点: 本シミュレーターの数値は上記文献を参考にした概算モデルであり、個別案件の見積もりではありません。 特に事業化成功率は「開発完了」ではなく「継続的な売上発生」を基準としており、開発に成功しても販売が伸びない場合は「失敗」としてカウントしています。 実際の投資判断には、具体的な顧客候補との対話、市場調査、専門家への相談が不可欠です。